じゃアないかといいますから、宜いじゃアないかって、お前さんのいう事を聞いた上で先生の処へ妾に行《ゆ》けるか行けないか考えて御覧、富さん酔うにも程がある、冗談は大概におしよと云って居りましたら、終《しまい》には甚《ひど》く酔って来まして、短かいのを抜いて、いう事を聞かなければ是だと嚇《おど》し始めましたから、私も勃然《むっ》として、大概におしなさい、お前は腕ずくで強淫《ごういん》をする積りか、馬鹿な事をする怖い人だ、いやだよと云って行《ゆ》こうとすると、そうはやらぬと私の裾《すそ》を押えて離さない処へ、お兼《かね》さんやお力《りき》さんが出て参りまして取押える拍子に、お兼さんが指に怪我をするやら、金どんも親指に怪我をしまして、漸《ようや》くの事で宥《なだ》めて刄物を抉取《もぎと》ったんでございますが、全く先生の処から来たのなら、明日《あす》の朝先生が入らっしゃるであろう、其の上当人も酒が醒《さ》めるだろうから、まア縛って置くが好《い》いというので縛って置きました」
七十六
安「こりゃアどうも怪《け》しからん、白刃《はくじん》を振《ふる》っておどすなぞとは、えゝ貞藏」
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