程お前を思ってるのに其れを疑ぐるということはない、誠に詰らぬこと…」
 隅「此処《こゝ》で寝るといけないから彼方《あっち》へおいでよ、彼方に床が取ってあるから、さ此のお金と書付を」
 富「やアそんなもの」
 隅「落《おっ》ことすといけないからお出し」
 と、金と書付を引《ひっ》たくって、無暗《むやみ》に手を引いて、細廊下の処を連れて行《ゆ》くと、六畳ばかりの小間《こま》がありまして、其処《そこ》に床がちゃんと敷いてある。
 隅「さ、お寝と云ったらお寝、あら俯伏《つっぷ》しちゃいけないから仰向けにお成り」
 と仰向に寝かし、枕をさして、
 隅「さ、寒いから夜具《これ》を」
 富「あゝ有難い、こっちイ這入って寝なよ」
 隅「今寝るが、寒いから掻巻《かいまき》を」
 富「好《い》いよ、雪は何《ど》うしたえ」
 隅「なに雪は降っているよ、夫婦の固めに雪が降るのは縁が深いとかいう事があるねえ」
 富「うーん、そりゃア深雪《みゆき》というのだ」
 隅「富さん、私はいう事があるよ」
 富「どう」
 隅「あら顔を見られると恥かしいから被《かぶ》っておいでよ」
 とお隅は掻巻を富五郎の目の上まで被せて其
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