窮屈な処にいるのはいやだと思って出たんだが、富さんこうなるのは深い縁だねえ、どうしても夫婦になる深い約束だよ」
富「是は妙なもんだね、不思議なもので、羽生村にいる時から私が真に惚れゝばこそ色々な策をして、惣次郎を討《うた》せたのも皆《みんな》お前故だねえ」
隅「一角さんは何処《どこ》にいるの」
富「一昨日《おととい》の晩三人で来て前の家《うち》は策で売らしてしまったから、笠阿弥陀堂《かさあみだどう》の横手に交遊庵《こうゆうあん》という庵室《あんしつ》がありましょう、二間《ふたま》室《ま》があって、庭も些《ちっ》とあり、林の中で人に知れないからというので其処《そこ》を借りていて、今夜私に様子を見て来いというので、私が来たのだから、こう/\といえば、えゝというので百両出す、なに大丈夫だ、其れで借金を片付けて行って了《しま》やア彼奴《あいつ》は何《なん》ともいえない、人を殺した事を知って居るから何ともいえやアしないから、烟《けぶ》に巻かれてしまわア、追掛《おっか》けようといっても彼奴江戸へ出られる奴でないから大丈夫」
隅「そう、本当に嬉しいねえ、真底お前の了簡が知れたよ」
富「これ
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