って、惣次郎さんを私が手引して殺させたというので花車の関取が私の背中をどやして、飯を吐《はか》せるというから、私は驚いて、あの腕前では迚《とて》も叶《かな》わぬから一生懸命逃げたんだが、あのくらい苦しいことはありませぬ、それ故御無沙汰になって、あなたが枕附で客をお取りになるという事を聞いて、今日口を掛けたのは相済みませぬが、実はどういう訳かと存じて只御様子を伺いたいというので参っただけで」
隅「まアそんな事は好《い》いじゃアないか、今夜私は酔うよ」
富「お相手をいたしましょう」
隅「お相手も何もいるものか」
と大きな湯呑に一杯受けて息も吐《つ》かずにぐっと飲んで、
隅「さア富さん」
富「私はもう数献《すこん》…えお酌でげすか、置注《おきつ》ぎには驚きましたね…それだけは…妙なものでげすな、貴方はお酒はもとから上りましたか」
隅「なに旦那の側にいる時分には謹んで飲まなかったんだが、此家《こゝ》へ来てから戴く様になりました」
富「へえ有難う、もう……お隅さんどうか御疑念をね…これだけはどうか…私は詰らん災難で、私が何《なん》ぼ何《なん》でも、一角は知らない奴、逢った事もない
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