かと存じて御様子を伺おうと思って参った処が、数献《すうこん》傾けて大酩酊《おおめいてい》」
 隅「まア是から二人で楽々と一杯飲もうじゃアないか、早く来て久振りで、昔話をしたいと思っても、長ッ尻のお客で滅多に帰らぬからいろ/\心配して、やっとお客を外して来たの、まア嬉しいこと、大層お前若くなったことね」
 富「恐入ります、あなたの御様子が変ったには驚きましたねえどうも、前とはすっかり違いましたねえ」
 隅「さお酌致しましょう」
 富「これはどうも、まア一寸一杯、左様ですか」
 隅「私は大きな物でなくっちゃア酔わないから、大きな物でほっと酔って胸を晴したいの、いやな客の機嫌|気褄《きづま》を取って、いやな気分だからねえ、富さん今夜は世話をやかせますよ」
 富「大きな物で、え湯呑で上りますか、御酒は些《ちっ》とも飲《あが》らなかったんですが、血に交われば赤くなるとか、妙でげすなア、お酌を致しましょう、これは妙だ、どうも大きな物でぐうと上れるのは妙でげすな、是は恐入りましたな」
 隅「私は酔って富さんに我儘な事をいうけれども、富さんや聞いておくれな」
 富「うゝんお隅さん必ず御疑念はお晴しなす
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