三郎の屋敷へ宅番に附いて居ると、或夜《あるよ》彼《か》の梶井主膳と云う者が同類を集めて駕籠を釣らせ、抜身《ぬきみ》の鎗《やり》で押寄せて、おこよ、源三郎を連れて行《ゆ》こうと致しますから深見新左衞門は役柄で捨置かれず、直《すぐ》に一刀を取って斬掛けましたが、多勢に無勢《むぜい》で、とう/\深見を突殺し、おこよ源三郎を引《ひき》さらって遠く逃げられました故、深見新左衞門は情《なさけ》なくも売卜者の為に殺されてお屋敷は改易《かいえき》でございます。諏訪部三十郎は病気で御出役が無かったのだが公辺《こうへん》のお首尾が悪く、百日の間閉門|仰付《おおせつ》けられますると云う騒ぎ、座光寺源三郎は勿論深見の家も改易に相成りまして、致し方がないから産落《うみおと》した女の児《こ》を連れて、お熊は深川の網打場へ引込《ひきこ》み、門番の勘藏は新左衞門の若様新吉と云うのを抱いて、自分の知己《しるべ》の者が大門町《だいもんちょう》にございますから、それへ参って若様に貰い乳をして育てゝ居るという情ない成行《なりゆき》、此の通り無茶苦茶に屋敷の潰れた跡へ、帰って来たのは新五郎と云う惣領でございますが、是は下総の三
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