、
富「しめた、金で自由になる枕附きで出れば、望みは十分だ」
と天命とはいいながら、富五郎が浮々《うか/\》とお隅の処へ遊びに参るという、これから仇打《あだうち》になりまするが、一寸一息。
七十一
お隅は霜月の八日から披露《ひろめ》を致しまして、客を取る様になりました。なれどもお隅は貞心《ていしん》な者でございますから、能《い》いように切り脱《ぬ》けては客と一つ寝をする様なことは致しません、素《もと》より器量は好《よ》し、様子は好し、其の上世辞がありまするので、大して客がござります。丁度十二月十六日ちら/\雪の降る日に山倉富五郎が遣《や》って参りましたが、客が多いので何時《いつ》まで待ってもお隅が来ません、其の内に追々と夜《よ》が更けて来ますが、お隅は外の客で来ることが出来ませぬから、代りの女が時々来ては酌をして参り、其の間には手酌で飲みましたから、余程酒の廻っている処へ、隔《へだて》の襖《ふすま》を明けて這入った人の扮装《なり》はじゃがらっぽい[#「じゃがらっぽい」に傍点]縞《しま》の小袖にて、まア其の頃は御召縮緬《おめしちりめん》が相場で、頭髪《あたま》は
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