達磨返しに、一寸した玉の附いた簪《かんざし》を※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]《さ》し散斑《ばらふ》の斑《ふ》のきれた櫛《くし》を横の方へよけて※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]しており、襟には濃《こっ》くり白粉《おしろい》を附け、顔は薄化粧の処へ、酒の相手でほんのりと桜色になっております、帯がじだらく[#「じだらく」に傍点]になりましたから白縮緬の湯巻がちら/\見えるという、前《ぜん》とはすっぱり違った拵《こしら》えで、
 隅「富さん」
 富「イヤこれはどうも、どうも是は」
 隅「私ゃアね富さんじゃないかと思って、内々《ない/\》見世で斯《こ》う/\いう人じゃアないかというと然《そ》うだというから、早く来度《きた》いと思うけれども、長ッ尻《ちり》のお客でねえ、今やっと脱《ぬ》けて来たの、本当に能く来たね」
 富「これはどうも、甚《はなは》だ何《ど》うも御無沙汰を、実は其の不慮の災難で御疑念を蒙むりました、それ故お宅へ参ることも出来ない、こんな詰らぬ事はないと存じて、存じながら御無沙汰を、只今まで重々御恩にな
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