引くから左様《そう》心得ろというと、なに、と突然《いきなり》竹槍をもって突いて来るから、私も刀を抜いて竹槍を切って落し、杉の木を小楯に取ってちょん/\/\/\暫く大勢《たいぜい》を相手に切合いました、すると旦那も黙っている気性でないから、すらり引抜いて一生懸命に大勢《おおぜい》を相手にちゃん/\切合いましたから、刀の尖先《とっさき》から火が出ました、真に火花を散《ちら》すとはこの事でしょう、けれども多勢に無勢と云う譬えの通りで、迚《とて》も敵《かな》わぬから、旦那に怪我があってはならぬと、危うい処を切抜けて駈込んで知らせたから、そら早くというので大勢の若い衆《しゅ》がどっと来て見ましたが、間に合いません、実に残念で、どうも」
花「お前さん供をしたから、嘸《さぞ》残念だったろうねえ」
富「実にどうも此の上ない残念で」
花「そこで、何《な》んですかい、向は十四五人で、其の内一人か二人|捕《つか》まえるとよかったね」
富「処が向が大勢《おおぜい》でげすから、此方《こっち》が剣術を知っていても、大勢で刃物を持って切付けるから敵《かな》いません」
花「じゃア旦那が刀を抜いて切合った処を
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