隅「何《なん》だか遅いから、明日《あした》先方《むこう》から参りますから今日はお止《や》めなさいな」
惣「なアに直ぐ帰るから」
隅[#「隅」は底本では「惣」]「そうでございますか、富五郎お前一緒にどうか気を付けておくれよ」
富「ヘエ大丈夫、どんな事があっても旦那様にお怪我をさせる様な事はございません、手前も剣道を心得ておりますから」
と空《そら》を遣《つか》って惣次郎の供をして出掛けましたが、笠阿弥陀を横に見て、林の処へ出て参りますと、左右は芒畳で見えませんが、左の方の土手向うは絹川の流れドウ/\とする、ぽつり/\と雨が顔にかゝって来る。
惣「富五郎降って来たようだ」
富「大した事もありません、恐れ入りましたが一寸|小用《こよう》を致しますから」
惣「小便《ちょうず》をするなれば提灯は持ていて遣る、これ/\何処《どこ》へ行《ゆ》く提灯を持って行っては困る」
という中《うち》富五郎はふっと提灯を吹消しました。
惣「提灯が消えては真暗《まっくら》でいかぬのう」
富「今小用致しますから」
という折から安田一角は大松《おおまつ》の蔭に忍んでおりましたが提灯が消えるを合
前へ
次へ
全520ページ中340ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング