、どうでげす」
安「お帰んなさい、何《なん》だお前は、これ汝《てまえ》は何だ、惣次郎方の厄介になっている者なれば、惣次郎がどうかして安田を馬鹿にして遣《や》れというので来たな、初めて逢って他人の女房を貰えなどと、はい願いますと誰《たれ》がいう、殊《こと》に惣次郎には、去年の秋|聊《いさゝ》かの間違で互《たがい》に遺恨もあり、私《わし》も恨みに思っている、其の敵《かたき》同士の処へ来て女房に世話をしましょうなどと、はい願いますと誰《たれ》がいう、白痴《たわけ》め、帰れ/\」
富「成程是は至極御尤も、どうもお気分に障るべき事を申したが、まア」
安「騒々しい、帰れったら帰れ」
富「まア/\重々御尤も、是には一つの訳がある、ようがすか、手前が打明けた話を致しましょう、手前も武士で二言はない手前は本所北割下水で千百五十石を取った座光寺源三郎の用人山倉富右衞門の忰富五郎、主人は女太夫を奥方にした馬鹿ですから家は改易、仕方なし、手前は常陸に知己《しるべ》があるから参ったが、ふとした縁で惣次郎方の厄介、処が惣次郎人遣いを知らず、名主というを権《けん》にかって酷《ひど》い取扱いをするは如何《いか
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