ら幾ら止《や》めろといっても外《そと》で飲みます。すると或日《あるひ》の事で、ずぶろくに酔って帰ると、惣次郎はおりません。母は寺参りに往ってお隅が一人奥で裁縫《しごと》をしている。
富「只今帰りました」
隅「おやまア早くお帰りで、今日は大層酔って何処へ」
富「ヘエ、水街道から戸頭《とがしら》まで、早朝から出まして一寸帰りに水街道の麹屋へ寄りましたら能く来たというので、彼《あ》の麹屋の亭主が一杯というので有物《ありもの》で馳走になりまして大《おお》きに遅くなりました」
隅「大層真赤に酔って、旦那様はまだお帰りはありますまい、お母様《っかさま》は寺参りに」
富「左様で、御老体になりますとどうもお墓参りより外|楽《たのし》みはないと見えて毎日いらっしゃいますが恐入ります、また旦那様の御様子てえなねえ、誠にド、どうも恐入りますねえ、あんたはお家《うち》で柔和《おとな》しやかに裁縫《しごと》をなすっていらっしゃるは、どうも恐入りますねえ、ド、どうも富五郎どうも頂きました」
隅「大層真赤になって些《ちっ》とお寝《やす》みな」
富「中々|寝度《ねた》くない、一服頂戴、お母様はお寺参り、
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