また和尚さんと長話し、和尚様はべら/\有難そうにいいますね、だが貴方《あんた》がお裁縫《しごと》姿の柔和《おとな》しやかなるは実に恐れ入りますねえ」
 隅「少しお寝みよ、富さん」
 富「ヘエ/\寝度《ねた》くないので、貴方は段々承ると、然《しか》るべき処の、お高も沢山お取り遊ばしたお武家の嬢様だが、御運悪く水街道へいらっしゃいまして、御親父様《ごしんぷさま》がお歿《かく》れになって、余儀なく斯《こ》ういう処へ入らしって、其の内|彼《あゝ》いう杜漏《ずろう》な商売の中にいて貴方《あんた》が正しく私は武士《さむらい》の娘だがという行いを、当家の主人がちゃんと見上げて、是こそ女房という訳で、此方《こちら》へいらしったのだが、貴方《あなた》だってもまア、私《わたくし》の考えが間違ったか知れんが、武士たる者の娘が何も生涯という訳ではなし、此の家《うち》は真《ほん》の腰掛で、詰らんといっては済みませんが、けれども貴方生涯|此家《こゝ》にいる思召《おぼしめし》はありますまい、手前それを心得て居るが、拙者も止むを得ず此処《こゝ》にいる、致し方がないから、半年《はんねん》も助《すけ》ろ、来年迄いろよ、有
前へ 次へ
全520ページ中324ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング