三つ瓜を盗みたべました処をお咎《とが》めで、何《なん》とも恥入りました事で、武士たる者が縄に掛り、此の上もない恥で、どうか憫然《ふびん》と思召してお許し下されば、此の後《ご》は慎みまする、どうかお情をもってお許しを願いたく存じます」
 惣「真桑瓜を盗んだからといって何も殺しはしない、真桑瓜と人間とは一つにはならん、殺しはせんが、茲《こゝ》で助けても、是から何処《どこ》へ行《ゆ》きなさる、当所《あてど》がありますかえ」
 富「ヘエ/\、何処といって当も何もないので、といってすご/\江戸表へ立帰る了簡もございません、空腹の余り悪いと知りながら斯様《かよう》なる悪事をして恐れ入ります」
 惣「じゃア茲で許して上げても他《わき》へ行って腹が空ると、また盗まなければならん、私《わし》の村で許しても外《ほか》では許さぬ、今度は簀巻にして川へ投り込むか、生埋にするか知れぬから、私が茲で助けても親切が届かんでは詰らん、お前さんの言葉の様子では武家に相違ない様だが、私の処は秋口で書物《かきもの》などが忙がしいが、どうだね、許して上げますが、私の家《うち》に恩報《おんがえ》しと思って半年ばかり書物の手伝い
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