も鳥目《ちょうもく》がなくって食えないと猶更空るねえ、天草の戦《いくさ》でも、兵糧責では敵《かな》わぬから、高松の水責と雖《いえど》も彼も兵糧責、天草でも駒木根八兵衞《こまきねはちべえ》、鷲塚忠右衞門《わしづかちゅうえもん》、天草玄札《あまくさげんさつ》などという勇士がいても兵糧責には叶《かな》わぬあゝ大きな声をすると腹へ響ける、大層真桑瓜がなっているなあ、真桑瓜は腹の空《す》いた時の凌《しの》ぎになる腹に溜《たま》る物だが、うっかり取る処を人に見られゝば、野暴《のあらし》の刑で生埋《いきうめ》にするか川に簀巻《すまき》にして投《ほう》り込まれるか知れんから、一個《ひとつ》揉《も》ぎって食う事も出来ぬが、大層なって熟しているけれども、真桑瓜を黙って持って行くはよろしくないというが、一寸|此処《こゝ》で食う位《ぐらい》の事は何も野暴《のあら》しでもないからよかろう、一つ揉ぎって食おうか」
 と怖々《こわ/″\》四辺《あたり》を見ると、瓜番小屋に人もいない様だから、まア好《い》い塩梅と腹が空《へ》って堪《たま》らぬから真桑瓜を食しましたが、庖丁がないから皮ごと喫《かじ》り、空腹だから続けて
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