母へもよく事《つか》えます故、母の気にも適《い》って村方のものを聘《よ》んで取極《とりきめ》をして、内祝言《ないしゅうげん》だけを済まして内儀《おかみさん》になり、翌年になりますと、丁度この真桑瓜《まくわうり》時分|下総瓜《しもふさうり》といって彼方《あちら》は早く出来ます。惣次郎の瓜畑を通り掛った人は山倉富五郎《やまくらとみごろう》という座光寺源三郎の用人役であって、放蕩無頼にして親には勘当され、其の中《うち》座光寺源三郎の家は潰れ、常陸《ひたち》の国に知己《しるべ》があるから金の無心に行ったが当《あて》は外れ、少しでも金があれば素《もと》より女郎でも買おうという質《たち》、一文なしで腹が空《へ》って怪しい物を着て、小短いのを帯《さ》して、心《しん》の出た二重廻《ふたえまわ》りの帯をしめて暑くて照り付くから頭へ置手拭をして時々流れ川の冷たい水で冷《ひや》して載せ、日除《ひよけ》に手を出せば手が熱くなり、腕組みをすれば腕が熱し、仕様がなくぶらり/\と参りました。
 富「あゝ、進退|茲《こゝ》に谷《きわ》まったなア、どうも世の中に何がせつないといって腹の空るくらいせつない事はないが、どう
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