何《なん》のと云うから殿様は猶更《なおさら》でれすけにおなり遊ばします。追々其の年も冬になりまして、十一月十二月となりますと、奥様の御病気が漸々《だん/\》悪くなり、その上寒さになりましてからキヤ/\さしこみが起り、またお熊は、漸々お腹が大きくなって身体が思う様にきゝませんと云って、勝手に寝てばかり居るので、殿様は奥方に薬一服も煎《せん》じて飲ませません。只勘藏ばかりあてにして、
新「これ/\勘藏」
勘「ヘエ、殿様貴方御酒ばかり召上って居て何《ど》うも困りますなア奥様は御不快で余程御様子が悪いし、殊《こと》には又お熊|様《さん》はあゝやって懐妊だからごろ/″\して居り、折々《おり/\》奥様は差込むと仰しゃるから、少しは手伝って頂きませんじゃア、手が足りません、私《わたくし》は若様のお乳を貰いに往《い》くにも困ります」
新「困っても仕方がない、何か、さしこみには近辺の鍼医《はりい》を呼べ、鍼医を」
と云うと、丁度|戸外《おもて》にピー、と按摩《あんま》の笛、
新「おゝ/\丁度按摩が通るようだ、素人《しろうと》療治ではいかんから彼《あ》れを呼べ/\」
勘「ヘエ」
と按摩を
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