り》を然《そ》ういっても間に合うめえし残して往っても無駄だから、此の生鮭《なまじゃけ》と玉子焼とア持って行こう」
などゝ横着な奴は手拭の上に紙を布《し》いて徐々《そろ/\》肴《さかな》を包み始めた。
花「じゃア先生《しぇんしぇい》こうしましょう、此処《こゝ》の家《うち》でごたすたいった処が此の家へ迷惑かけて、外《ほか》に客があるから怪我でもさしてはなりません、戸外《おもて》に出て広々とした天神前の田甫《たんぼ》中でやりましょう、私《わし》も男だ逃げ隠れはしません」
安「面白い出ろ」
というので三人づんと起《た》った。
客「喧嘩だア/\」
と他《ほか》の客はバラ/\逃げ出したが、代を払って行《ゆ》く者は一人もない、横着者は刺身皿を懐に隠して持って行《ゆ》く者もあり、中には料理番の処へ駈込んで、生鮭を三本も持って逃出す者もあり、宇治の里では驚きましたが、安田一角は二人の助けを頼みとして袴の股立ちを取って、長いのを引抜き振翳《ふりかざ》したから、二人の武士も義理で長いのを引抜き三人の武士《さむらい》が長い閃《きら》つくのを持って立並んでいるから、近辺の者は驚きました。惣次郎は猶更
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