心配でございますから、
惣「関取お前に怪我をさせては親方に済まぬから」
花「いゝよ、親方も何もない、お前さん彼方《あっち》へ行って下せえよ、己が引受けたからは世間へ顔出しが出来ませんから退《ひ》く事は出来ない、何卒《どうか》事なく遣る積《つも》りで、お前さんは心配をしねえでいゝよお隅さんを連れて構わず往って下さい、多助さんも行って下さい、旦那様が茲《こゝ》にいては悪いから帰って下さえ」
惣次郎は帰れたッて帰られませんし、此の儘にはされず、怖さは怖しどうしようかとおど/\して居ると、花車はスッと羽織と単物《ひとえもの》を脱ぎましたが、角力取の喧嘩は大抵|裸体《はだか》のもので、花車は衣服を脱ぐと下には取り廻しをしめている、ウーンと腹を揺《ゆ》り上《あげ》ると腹の大きさは斯様《こんな》になります、飴細工の狸みた様で、取廻しの処へ銀拵《ぎんごしら》えの銅金《どうがね》の刀を帯《さ》し白地の手拭で向鉢巻《むこうはちまき》をして飛下《とびお》りると、ズーンと地響きがする、腕なぞは松の樹《き》の様で腹を立ったから力は満ちて居る、スーと飛出すと見物人は「ワアー関取しっかりしろ」という。安田一角
前へ
次へ
全520ページ中309ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング