いので、私《わし》は馴染の事でもあるに由《よ》って、重吉手前は顔売る商売じゃ、なり代って詫びてくれいって頼まれまして、見兼て中に這入りましたがねえ、重々御立腹でもございましょうが、斯《こ》ういう料理屋で商売柄の処でごた/\すれば、此家《こちら》も迷惑なり、お互に一杯ずつも飲もうと思うに酒も旨うない、先生《しぇんしぇい》も旨うない訳だから、成り代ってお詫しますから、花車に花を持たせて御勘弁を願います」
 安「誠にお気の毒だが勘弁は致されんて、勘弁致し難《がた》い訳があるからで、勘弁しないというは武士の腰物《こしのもの》を女の足下《そっか》に掛けられては此の儘に所持もされぬから浄めて返せと先刻《さっき》から申して居《お》るのだ」
 花「それは然《そ》うでありましょう、併《しか》し出来《でけ》ない処を無理に頼むので、出来難《でけにく》い処をするが勘弁だア、然《そ》うじゃアありませんか」
 安「無理な事は聴かれませんよ、お前が仲に這入っては尚更《なおさら》勘弁は出来ぬではないか」
 花「はア私《わし》が這入って、なぜね」
 安「花車重吉という有名《なうて》の角力取が這入っては勘弁ならん、是が七
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