」
惣「何《なん》だ」
多「関取がねえ奥に来ているだ、大きに心配しているだが、ちょっくら旦那にお目に掛りてえというが」
惣「なに花車が、それは宜《よ》かった関取に詫をして貰おう、一寸」
安「これ/\逃出す事はならぬ」
惣「いえ逃げは致しませんが、主意を立てましてお詫を申上げます暫く御免を」
というのでこそ/\と後《あと》にさがる。此の隙《ひま》に宇治の里の亭主手代なども交《かわ》る/\詫びますけれども一向に聞入れがありません。
惣「関取は此方《こちら》かえ」
花車「はい」
惣「誠にどうも此処《こゝ》で逢うとは思わなかった」
花「えゝ今皆聞きました、何しろ相手が悪いがねえ、何か是には仔細があってだアと鑑定しているが、何しろ筋の悪い奴で、是は私《わし》がねエなり代って詫びて見ましょう」
惣「何卒《どうぞ》、関取なら愛敬を売るお前だから厭《いや》でもあろうが、先の機嫌を直す様に」
花「案じねえでもいゝよ」
多「私《わし》イ宿を出る時に間違えでも出かすとなんねえから、名前《なめえ》に掛るからってお内儀《かみさん》に言付かって汝《われ》行って詰らねえ口い利いて間違え出か
前へ
次へ
全520ページ中301ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング