ッと癪に障り、何か有ったら関係《かゝりあい》を付けようと思っている。此方《こちら》では御飯が済んだから帰り掛《がけ》に花車の家《いえ》に往《ゆ》こうというので急いで出る、お隅も安田が来ているのを認めましたから気味が悪く早く帰ろうと思うので、奥から出て廊下へ来ると、何《ど》うしても其処《そこ》を通らなければ出られないから、安田はわざと三人の刀の鐺《こじり》を出して置きますと、長い刀の柄前《つかまえ》にお隅が躓《つま》づきましたのを見ると、
安「コレ/\待て、コレ其処へ行《ゆ》く者待て」
惣「ヘエ/\私《わたくし》でございますか」
安「手前|何処《どこ》の者か知らんけれども、人の前を通る時に挨拶して通れ、殊《こと》にコレ武士の腰に帯《たい》して歩く腰の物の柄前に足をかけて、麁忽《そこつ》でござると一言《ひとこと》の謝言《わびごと》も致さず、無暗《むやみ》に参ることが有るか、必定心有ってのことだろう」
惣「ヘイ頓《とん》と心得ませんで…お前|疎忽《そこつ》だからいけない、お武家様のお腰の物に足をかけて何《なん》のことだね、ヘイ何《ど》うも相済みませんでございました、つい取急ぎまして飛
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