弟子となったが、是より花車が来たといえば土地の者が贔屓にして見物に来る。惣次郎も何時《いつ》も多分の祝義を遣わしましたが、今度もお隅を伴《つ》れて見物しようと思い、相撲は附けたり、お隅に逢いたいからそこ/\支度を致しますと、母が心配して
母「アノ帰るなら今夜は些《ち》と早く帰って貰《もれ》え度《て》え、明日《あす》は少し用が有るからのう」
惣次郎「少しは遅く成るかも知れません、若《も》し遅くなれば喜右衞門《きえもん》どんに何彼《なにか》と頼んで置いたから御心配は無いが、万一《ひょっと》して花車も一杯[#「一杯」は底本では「一抔」]やり度《た》いなどゝ云うと、些《ちっ》とは私も遣り度い物も有りますから、又帰る迄に着物でも持たして遣りとうございますし、そんな事で種々《いろ/\》又相談も致しますから、若し遅く成りましたら、何《ど》うかお先にお寝《やす》みなすって下さいまし」
母「ハイ遅くならば先《さ》きに寝てもいゝだけれど、まア此の頃は他《ほか》へ出ると泊って来る事もあり、今迄旦那様が達者の時分にはお前が家《うち》を明けた事はねえ、あんな堅《かて》え若旦那様はねえ、今の世は逆《さか》さ
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