様も種々《いろ/\》心配なさるが、常に堅い人だから、うっかり意見がましい事もいわれませんので控えている。すると其の翌年|寛政《かんせい》十年となり、大生郷村の天神様から左《ひだ》りに曲ると法恩寺《ほうおんじ》村という、其の法恩寺の境内に相撲が有ります。此の相撲場は細川越中守《ほそかわえっちゅうのかみ》様御免の相撲場ということで、木村權六《きむらごんろく》という人が只今|以《もっ》て住んで居ります、縮緬《ちりめん》の幕張《まくば》りを致して、田舎相撲でも立派な者で近郷からも随分見物が参ります、此処《こゝ》に参っている関取は花車重吉《はなぐるまじゅうきち》という、先達《せんだって》私《わたくし》古い番附を見ましたが、成程西の二段目の末から二番目に居ります。是は信州|飯山《いいやま》の人で十一の時初めて羽生村へ来て、名主方に二年ばかり奉公している其の中《うち》に、力もあり体格もいゝので、自分も好きの処から、法恩寺村の場所へ飛入りに這入ると、若いにしては強い、此の間は三段目の角力《すもう》を投げたなどゝ賞《ほ》められましたから、自分も一層相撲に成ろうと、其の頃の源氏山《げんじやま》という年寄の
前へ 次へ
全520ページ中289ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング