新「アヽ何処から飛んで来たか鉄砲の流丸《それだま》、お蔭で己は助かったが猟師が兎でも打とうと思って弾丸《たま》が反《そ》れたか、アヽ僥倖《さいわい》命強《いのちづよ》かった、危ない処を遁《のが》れた、誰《たれ》が鉄砲を打ったか有難いことだ」
 併《しか》し猟夫《かりゅうど》が此の様子を見て居りはせぬかと絹川の方を眺めますれど、只水音のみでございまして往来は絶えた真の夜中でございます。此方《こちら》の庭の生垣の方からちらり/\と火縄の火が見える様だから、油断をせず透《すか》して見ますると、寝衣帯《ねまきおび》の姿《なり》で小鳥を打ちまする種が島を持って漸くに草に縋《すが》って登って来たのはお賤、
 賤「新吉さんお前に怪我は無かったかえ」
 新「お賤、手前《てめえ》はマア何《ど》うした」
 賤「私はモウ途方に暮れて仕舞って、お前に怪我をさしてはならないから何うしようかと思っても、女が刃物|三昧《ざんまい》しても彼奴《あいつ》には敵《かな》わないし、何うしようかと考えたら、ふいと気がついたんだよ、此の間ね旦那が鉄砲を出して小鳥をうつ時|手前《てまえ》もやって見ろッてんでね、やっと引金に指
前へ 次へ
全520ページ中284ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング