手の甚藏がポカ/\堀りまする、所が金は出ません、幾ら堀っても金は出ない訳で固《もと》より無い金、びっしょり汗をかいて、
 甚「新吉金は無《ね》えぜ」
 新「無《ね》いね」
 甚「何をいうんだ、無駄っ骨《ぽね》を折《おら》しやアがって金は有りゃアしねえ」

        五十二

 新「左と云ったが、ひょっとしたら向って左かしら」
 甚「何を云うんだ仕様がねえな此畜生|咽喉《のど》が渇いて仕様がねえ、斯《こ》んなにびっしょりに成った」
 新「己も咽喉が渇くから水を飲みてえと思っても、手水鉢は殻《から》で柄杓《ひしゃく》はから/\だが、誰もお参りに来ないと見えるな、うんそう/\、此方《こっち》へ来な、聖天山の裏手に清水の湧《わ》く処がある、社《やしろ》の裏手で崖の中段にちょろ/\煙管《きせる》の羅宇《らう》から出る様な清水が溜って、月が映っている、兄《あに》い彼処《あすこ》の水は旨《うめ》えな」
 甚「旨えが怖くって下《お》りられねえ」
 新「下りられねえって何《ど》うかして下りられるだろう、待ちねえあの杉だか松だか柏《かしわ》だかの根方に成って居る処《とこ》に藤蔓《ふじつる》に蔦《つた
前へ 次へ
全520ページ中276ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング