ろうじゃアねえか」
 甚「然うか、新吉、旦那もお賤にゃア惚れて居たなア、二百両という金を埋めて置いて是で食えよとなア、若旦那にもいわねえで金を埋めて置くてえのは金持は違わア」
 新「早く堀らねえと彼処《あすこ》の山は自然薯《じねんじょう》を堀りに行《ゆ》く奴が有るから、無暗《むやみ》に遣《や》られるといけねえ」
 甚「じゃア早く」
 新「鋤《すき》か鍬《くわ》はねえか」
 甚「丁度鋤が有るから」
 と有合《ありあい》の鋤を担《かつ》いで是から二十丁もある根本の聖天山へ上《あが》って見ると、四辺《あたり》は森々《しん/\》と樹木が茂って居り、裏手は絹川の流《ながれ》はどう/\と、此の頃《ごろ》の雨気《あまけ》に水増して急に落《おと》す河水の音高く、月は皎々《こう/\》と隈《くま》なく冴《さ》えて流へ映る、誠に好《よ》い景色だが、高い処は寒うございますので、
 甚「新吉|此処《こゝ》は滅法寒いナア」
 新「なに穴を堀ると暖《あった》かくなって汗が出るよ、穴を堀りねえ」
 甚「余計な事をいうな」
 新「此処だ/\」
 と差図《さしず》を致しますから、
 甚「よし/\」
 といいながら新吉と土
前へ 次へ
全520ページ中275ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング