ろうじゃアねえか」
甚「然うか、新吉、旦那もお賤にゃア惚れて居たなア、二百両という金を埋めて置いて是で食えよとなア、若旦那にもいわねえで金を埋めて置くてえのは金持は違わア」
新「早く堀らねえと彼処《あすこ》の山は自然薯《じねんじょう》を堀りに行《ゆ》く奴が有るから、無暗《むやみ》に遣《や》られるといけねえ」
甚「じゃア早く」
新「鋤《すき》か鍬《くわ》はねえか」
甚「丁度鋤が有るから」
と有合《ありあい》の鋤を担《かつ》いで是から二十丁もある根本の聖天山へ上《あが》って見ると、四辺《あたり》は森々《しん/\》と樹木が茂って居り、裏手は絹川の流《ながれ》はどう/\と、此の頃《ごろ》の雨気《あまけ》に水増して急に落《おと》す河水の音高く、月は皎々《こう/\》と隈《くま》なく冴《さ》えて流へ映る、誠に好《よ》い景色だが、高い処は寒うございますので、
甚「新吉|此処《こゝ》は滅法寒いナア」
新「なに穴を堀ると暖《あった》かくなって汗が出るよ、穴を堀りねえ」
甚「余計な事をいうな」
新「此処だ/\」
と差図《さしず》を致しますから、
甚「よし/\」
といいながら新吉と土
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