あんに》い、先刻《さっき》の様に高声《たかごえ》であんな事を云ってくれちゃア困るじゃアねえか、己はどうしようかと思った、表に人でも立って居たら」
甚「何故、いゝじゃアねえか、己が面《つら》を出したら黙って金を出すかと思ったら、まご/\して居やアがって、手前《てめえ》お賤に惚れていやアがる、馬鹿、彼女《あいつ》めいゝ気に成りやアがって、呶鳴り付けるから仕方なしに云ったんだ、此畜生《こんちきしょう》金え持って来たか」
新「彼《あ》れから後《あと》でお賤に話をして実は是々で明《あか》したと云ったら、それは済まない事を云った、知らなかったから誠に悪い事を云ったが、甚藏さんに悪く思わねえ様に然《そ》ういってくれというのだ」
甚「手前《てめえ》湯灌場の事を云ったか」
新「云ったよ、云ったら驚いてお賤は甚藏さんに済まなかった、然ういう訳なら何故早く私に然う云わないで、だが土手の甚藏さんに茲《こゝ》で三拾や四拾や上げても焼石に水で駄目だから、纏《まと》まった金を上げようから、何《ど》うかそれで堅気になり、此方《こっち》も江戸へ行って小世帯《こじょたい》を持つから、お互に此の事は云わねえという証
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