《ど》うも困るナアおい兄《あんに》い、え、兄い表向にすれば大変な事に成るよ」
 甚「え、成ったって宜いや、不人情な事をいうな、手前《てめえ》が殺したなら黙って埋《うめ》るてえのだ、殺したら殺したと云いねえ、殺したか」
 新「仕様がねえな、何《ど》うも己が殺したという訳じゃアねえが、それは、困って仕舞ったなア、唯《た》だ一寸《ちょいと》手伝ったのだ」
 甚「なに手伝った、じゃアお賤が遣ったか」
 新「それには種々《いろ/\》訳が有るので、唯縄を引張ったばかりで」
 甚「それで宜しい、引張ったばかりで沢山だ、お賤が引くなア女の力じゃア足りねえから、新吉さん此の縄を締めてなざア能く有る形だ、宜しい、よし/\早く水を掛けやア」
 とザブリ水を打掛《ぶっか》けて其の儘《なり》にお香剃《こうずり》の真似をして、暗いうちに葬りに成りましたから、誰有って知る者はございませんが、此の種を知っている者は土手の甚藏ばかり、七日が過《すぎ》ると土手の甚藏が賭博《ばくち》に負けて素《す》っ裸体《ぱだか》になり、寒いから犢鼻褌《ふんどし》の上に馬の腹掛を引掛《ひっか》けて妙な形《なり》に成りまして、お賤の処へ参り
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