ゃア困らアな、今お経を誦《あ》げてるから、エーおい兄い、それはそれにして埋めて仕舞おう」
甚「埋められるもんかえ、それとも新吉、実は兄い私《わっち》が殺したんだと一言《ひとこと》云やア黙って埋めて遣ろう」
新「何を詰らねえ事を、な何を、思い掛けねえ事をいうじゃアねえか何《なん》だって旦那を」
甚「手前《てめえ》が殺したんでなけりゃア外《ほか》に敵が有るのだから敵討をしようじゃアねえか、手前お賤と疾《と》うから深《ふけ》え中で逢引するなア種が上って居るが、手前は度胸がなくっても彼《あ》の女《あま》ア度胸が宜《いい》から殺してくれエといい兼ねゝえ、キュウと遣ったな」
新「何《ど》うも、な何《なん》だってそれは、何うも、エおい兄《あんに》い外の事と違って大恩人だもの、何ういう訳で思い違《ちげ》えて其様《そん》な事を、え、おい兄《あんに》い」
甚「何をいやアがるのだ、手前《てめえ》が殺さなけりゃア殺さねえで宜《い》いやア、手前と己は兄弟分の誼《よしみ》が有るから打明けて殺したと云やア黙って口を拭《ふ》いて埋めるが、外に敵が有れば敵討だ、マア仏様を本堂へ持って行こう」
新「これドヽ何
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