り寝付いて居るからお上《あが》りよ」
 新「そうかえ夜来るのも極りが悪い様だが、実は少し小遣《こづけえ》が無くなって、外《ほか》へ泊る訳にいかねえから、看病かた/″\来たのだが、能く御新造さんが承知で旦那を此方《こっち》へよこして置くね」
 賤「なに碌《ろく》な看病もしないけれども、お宅《うち》では気に入らないと云ってね、気に入った処で看病をして貰う方がよいと人が来ると憎まれ口を利くから、お内儀《かみ》さんも若旦那も此の二三日来ないから、私一人で看病するのだから実は困るよ、困るけれども其の代りには首尾がよくって、種々《いろ/\》旦那に話して置いた事もあるのだからね、遺言状まで私は頼んで書いて貰って置いたから、今能く寝付いて居るし、遊んでおいでな、揺《ゆさ》ぶっても病気疲れで能く寝て居るから、茲《こゝ》で何を云っても旦那に聞える気遣《きづかい》は無し、他に誰も居ないから、真に差向いで話しするがね、私は旦那に受出されて此処《こゝ》へ来て、お前とは江戸に居る時分から、まア心易《こゝろやす》いが、私の方で彼様《あんな》事を云出してから、お前も厭々ながらお内儀《かみさん》まであゝ云う訳になって苦
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