た処が、銭イなえと云うから、無くったって好《い》いや、何《なん》でもお賤さんの処《とこ》へ行ってお呉んなせえというと、いつも行って馳走になって小遣《こづけえ》貰って帰《けえ》るべえ能でもねえじゃアねえか、何卒《どうか》己も偶《たま》にア旨《うめ》え物でも買って行って、お賤に食わしてえって、其処《そこ》はソレ情合《じょうあい》だからそんな事を云ったゞが、いゝや旨え物持って行くたって無《ね》えものはハア駄目だ、お賤さんの方が、旨え物|拵《こし》れえて待って居るから今夜呼んで来てくんなせえよと、己が頼まれたから構わねえじゃアねえかと云っても、金が無ければてえので家《うち》へ帰《けえ》ると、家に蚊帳が釣って有るだ」
新「よせ/\、そんな話は止せよ」
作「話したって宜《よ》かんべえ、それで其の蚊帳《かやア》質屋へ持って行こうって取りに掛ると、女房《かみさん》は塩梅《あんべえ》が悪《わり》いし赤ん坊は寝て居るし」
新「コレよせ、よさねえか」
作「云ったって宜《え》え、そんなに小言云わねえが宜え、蚊帳へ縋《すが》り付いて、己《おら》ア宜えが子供が蚊に喰われて憫然《かわいそう》だから何卒《どう
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