えからよ」
新「サア出せ、出さねえと撲るぞ、厭でも撲るぞ、此度《こんだ》ア手じゃアねえ薪《まき》だぞ、放さねえか」
累「アヽお情ない、新吉さん此の蚊帳は私が死んでも放しません」
と縋《すが》りつくのを五つ六つ続け打《うち》にする。泣転《なきころ》がる処を無理に取ろうとするから、ピリ/\と蚊帳が裂ける生爪が剥《は》がれる。作藏は、
作「南無阿弥陀仏/\、酷《ひど》い事をするなア、顔は綺麗だが、怖《おっ》かねえ事をする、怖《こえ》えなア」
新「サア此の蚊帳《かやア》持って行《ゆ》こう」
作「アレ/\」
新「なに」
作「爪がよう」
新「どう、違《ちげ》えねえ縋り付きやアがるから生爪が剥がれた、厭な色だな、血が付いて居らア、作藏|舐《な》めろ」
作「厭だ、よせ、虫持《むしもち》じゃア有るめえし、爪え喰う奴があるもんか」
新「此の蚊帳《かやア》持って往ったら三両か五両も貸すか」
作「貸《つ》くもんか」
新「爪を込んで借りよう」
作「琴の爪じゃアあるめえし」
とずう/\しい奴で、其の蚊帳を肩に引掛《ひっか》けて出て行《ゆ》きます。お累は出口へ斯《こ》う這出したが、口惜
前へ
次へ
全520ページ中237ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング