雨が掛ってもいゝ様に手当がして有《ある》んだ」
 ○「敷紙が二重になってるぜ」
 と云いながら、四方が油紙の掛って居る此方《こちら》の片隅を明けて楽みそうに手を入れると、グニャリ、
 ○「おや」
 甚「何《なん》だ/\」
 ○「変だなア」
 甚「何だえ」
 ○「ふん、どうも変だ」
 甚「然《そ》う一人でぐず/\楽まずに些《ちっ》と見せやな」
 ○「エヽ黙ってろ、何だか坊主の天窓《あたま》みた様な物があるぞ」
 甚「ウン、ナニ些とも驚く事《こた》アねえ、結構じゃアねえか」
 ○「何が結構だ」
 甚「そりゃアおめえ踊《おどり》の衣裳だろう、御殿の狂言の衣裳の上に坊主の髢《かつら》が載ってるんだ、それをお前《めえ》が押えたんだアナ」
 ○「でも芝居で遣う坊主の髢はすべ/\してるが、此の坊主の髢はざら/\してるぜ」
 甚[#「甚」は底本では「新」]「ナニざら/\してるならもじがふら[#「もじがふら」に傍点]と云うのがある、きっとそれだろう」
 ○「ウン然《そ》うか」
 甚「だから己《おれ》に見せやと云うんだ」
 ○「でも坊主の天窓の有る道理はねえからなア、まア/\待ちねえ己が見るから」
 とま
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