た二度目に手を入れると今度はヒヤリ、
○「ウワ、ウワ、ウワ」
甚「おい何《な》んだ」
○「何《ど》うも変だよ冷てえ人間の面アみた様な物がある」
甚「ナニ些とも驚くこたアねえやア、二十五座の衣裳で面《めん》が這入《へえ》ってるんだ、そりゃア大変に価値《ねうち》のある物で、一個《ひとつ》でもって二百両ぐれえのがあるよ」
○「ウン、二十五座の面か」
甚「兄い、だから己に見せやと云うんだ」
と云われたから、今度は思い切って手を突込むとグシャリ、
○「ウワア」
と云うなり土間へ飛下りて無茶苦茶にしんばりを外して戸外《おもて》へ逃出しますから、
甚「オイ兄い、何処《どこ》へ行《ゆ》く、人に相談もしねえで、無暗《むやみ》に驚いて逃出しやアがる、此の金目《かねめ》のある物を知らずに」
と手を入れて見ると驚いたの驚かないの、
甚「ウアヽヽ」
と此奴《こいつ》も同じく戸外へ逃出しました。すると其の途端に上方者が目を覚して、
上「さアお鶴《つる》起《おき》んかえ時刻は宜《え》いがナ、起んか」
と云うとお鶴と云う女房が、
鶴「お止しよ眠いよ」
上「おい、これ、起んかえ」
鶴
前へ
次へ
全520ページ中25ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング