云うもので、此様《こん》なに強情を張るのだろう、新吉の野郎め、困ったな、水はねえかな、何卒《どうか》これ、お累|確《しっ》かりしてくれよ、心を慥《たし》かに持たなければならんよ、此の大病の中で差込が来ては堪《たま》らん、確かりして」
 と一人で手に余る処へ、帰って来たは與助、風呂敷包に蚊帳の大きなのを持って、
 與「旦那取って来ました」
 三「蚊帳を取って来たか、今お累が癪を起して気絶してしまった」
 與「えゝまア、そりゃ、お累さん/\何《ど》うしただ、これお累さん、あゝまア歯ア喰いしばって、えらい顔になって、是はまア死んだに違《ちげ》えねえ、骨と皮ばかりで」
 三「死んだのじゃアねえ今|塞《と》じて来たのだが、アヽこれっ切りに成るかしら、あゝもうとても助かるまい」
 與「助からねえッてえ可哀そうに、これマア迚《とて》も駄目だねえ、お累さん私《わし》イ小せえうちから馴染ではござえませんか、私イ今ア蚊帳《かやア》取りに行く間待っても宜《よ》かんべえがそれにマア死んでしまうとは情ねえ、彼様《あん》な悪徒《あくと》野郎が側に附いて居るから、近所の者も見舞にも来ず、薬一服煎じて飲ませる看病人も
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