無い、此様《こん》なになって死ぬのは誠に情ねえ訳で、何《ど》うして死んだかなア」
 三「其様《そんな》に泣いたって仕様があるものか、命数が尽きれば仕方がねえ、其様に女々しく泣くな、男らしくもねえ、腹一杯親|同胞《きょうだい》に不孝をして苦労を掛けて是で先立つたア此様《こん》な憎い奴はねえ、憫然《かわいそう》とは思わない、悪《にく》いと思え、泣く事はねえ、泣くな」
 與「泣くなって、泣いたって宜《よ》かんべえ、死んだ時でも泣かなきゃア泣く時はねえ、私《わし》い憫然でなんねえだよ、斯《こ》んな立派な兄《あに》さんがあっても、薬一服煎じて飲ませねえで憫然だと思うから泣くのだ、お前さんも我慢しずに泣くが宜《え》え」
 三「まア水でも飲まして見ようか」
 與「まだ水も何も飲ませねえのかえ」
 三「オイ己《おれ》が水を飲ませるから其処《そこ》を押えて、首を斯《こ》うやって、固く成って居るからの、力一ぱい、なに腕が折れると、死んで居るから構やアしねえ、宜《い》いか、今水を飲ませるから、ウグ/\/\/\」
 與「何だか云う事が分んねえ」
 三「いけねえ、己が飲んでしまった」
 與[#「與」は底本では「
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