、えゝお累、返答しなければ私は二度と再び来ませんよ」

        四十一

 累「はい/\」
 と利かない手を漸《やっ》と突いてガックリ起上り、兄三藏の膝の上へ手を載せて兄の顔を見る眼に溜《たま》る涙の雨はら/\と膝に翻《こぼ》れるのを、
 三「これ/\たゞ泣いていては却《かえ》って病《やまい》に障るよ」
 累「はいお兄様《あにいさま》どうも重々《じゅう/\》の不孝でございました、まア是迄御丹精を受けました私《わたくし》が、お兄様のお言葉を背きましては、お母様《っかさま》へ猶々《なお/\》不孝を重ねまする因果者、此の節のように新吉が打って変って邪慳では、迚《とて》も側には居られません、少しばかり意見がましい事を申せば、手にあたる物でぶち打擲致しますから、小児《あか》が可愛《かわゆ》くないかと膝の上へ此の坊を載せますと、エヽうるせえ、とこんな病身の小児を畳の上へ放り出します、それほど気に入らぬ女房なれば離縁して下さい、兄の方へ帰りましょうと申しますと、男の子は男に付くものだから、此の與之助は置いて行《ゆ》けと申します、彼様《あん》な鬼の様な人の側へ此の坊を置きましては、見す/\見殺
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