なに瘠《やせ》てはいなかったが、何も食べさせはせず、薬一服|煎《せん》じて呑ませる了簡もなく、出歩いてばっかり居る奴だから、自分には煮炊《にたき》も出来ずお前が此様な病気でも見舞に来る人もないから知らせる人もなし、物を食べなけりゃア力が附かないから、是では仮令《たとえ》病気でなくとも死にます、見れば畳も持出して売りやアがったと見えて、根太《ねだ》が処々《ところ/″\》剥《は》がれて、まア縁の下から草が出ているぜ、実に何《ど》うも酷《ひど》いじゃアないか、えゝおい、彼《あ》の非道な新吉を何処《どこ》までもお前亭主と思って慕う了簡かえ、お前は罰《ばち》があたって居るのだよ、私がお母様《っかさん》にお気の毒だと思って種々《いろ/\》云うと、お母様は私への義理だから、何《なん》の親|同胞《きょうだい》を捨てゝ出る様な者は娘とは思わぬ、敵《かたき》同士だ、病気見舞にも行ってくれるな、彼様《あん》な奴は早く死ねばいゝ、と口では仰しゃるけれども、朝晩如来様に向って看経《かんきん》の末には、お累は大病でございます、何卒《どうか》お累の病気全快を願います、新吉と手を切りまして、一つ処へ親子三人寄って笑顔
前へ 次へ
全520ページ中222ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング