は此の金を持って遊び歩いて家《うち》へ帰らぬから、自分は却《かえ》って面白いが、只|憫然《かわいそう》なのは女房お累、次第/\に胸の焔《ほむら》は沸《に》え返る様になります。殊に子供は虫が出て、ピイ/\泣立てられ、糸の様に痩せても薬一服呑ませません。なれども三藏の手が切れたから村方の者も見舞に来る人もござりません。新吉は能《い》い気になりまして、種々《いろ/\》な物を持出しては売払い、布団どころではない、遂《つい》には根太板《ねだいた》まで剥《はが》して持出すような事でございますから、お累は泣入っておりますが、三藏は兄妹の情《じょう》で、縁を切っても片時も忘れる暇《ひま》は有りません故、或日|用達《ようたし》に参って帰りがけ、旧来居ります與助《よすけ》と云う奉公人を連れて、窃《そう》っと忍んで参り、お累の家《うち》の軒下に立って、
三「與助や」
與「ヘエ」
三「新吉が居る様なれば寄らねえが、新吉が居なければ一寸《ちょっと》逢って行《ゆ》きたいから窃《そっ》と覗《のぞ》いて様子を見て、新吉が居ては迚《とて》も顔出しは出来ぬ」
與「マア大概《てえげえ》留守勝だと云うから、寄って上げ
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