ざいませんけれども、自然と様子がおかしいので村の者も勘付いて来ました。新吉は家《うち》へ帰ると女房が、火傷の痕《あと》で片鬢《かたびん》兀《はげ》ちょろになって居り、真黒な痣《あざ》の中からピカリと眼が光るお化《ばけ》の様な顔に、赤ん坊は獄門の首に似て居るから、新吉は家へ帰り度《た》い事はない。又それに打って代って、お賤の処へ来ると弁天様か乙姫の様な別嬪《べっぴん》がチヤホヤ云うから、新吉はこそ/\抜けては旦那の来ない晩には近くしけ込んで、作藏に少し銭を遣れば自由に媾曳《あいびき》が出来まするが、偖《さて》悪い事は出来ぬもので、兄貴は心配しても、新吉に意見を云う事は出来ませんから、お累に内々《ない/\》意見を云わせます、意見を云わないと為にならぬ向《むこう》が名主様だから知れてはならぬという、それを思うから、女房お累が少し意見がましい事をいうと、新吉は腹を立てゝ打ち打擲《ちょうちゃく》致しまするので、今迄と違って実に荒々しい事を致しては家を出て行《ゆ》きまするような事なれども、人が善《よ》いから、お累は心配する所から段々病気に成りまして、遂には頭《かしら》が破《わ》られる様に痛いとか、
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