れなんて云うと、冬などは障子を張替えたり、水を汲んだり、外を掃除したり、誠に一寸人柄は好《よ》しねえ、若い芸者衆は大騒ぎやったので、新吉さん遠慮しないで、窮屈になると却《かえ》って旦那は困るから、ねえ旦那、初めてゞすからお土産などと云ったんだけれども止《と》めましたが、初めてですからお金を一寸少しばかり遣《や》って下さいな」
 惣「お金を、幾ら」
 賤「幾らだって少しばかりは見っともないし、貴方は名主だからヘエ/\あやまってるし、初めてですから三両もお遣んなさいよ」
 惣「三両、余《あんま》り多いや一両で宜《よ》かろう」
 賤「お遣りなさいよ、向《むこう》は目下だから、それに、旦那あの博多の帯はお前さんに似合いませんから彼《あ》の帯もお遣りなさいよう」
 惣「帯を、種々《いろ/\》な物を取られるなア」
 と是が始《はじま》りで新吉は近しく来ます。

        三十九

 お賤は調子が宜し、酒が出ると一寸小声で一中節《いっちゅうぶし》でもやるから、新吉は面白いから猶《なお》近しく来る。其の中《うち》に悪縁とは申しながら、新吉とお賤と深い中に成りましたのは、誰《た》れ有って知る者はご
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