を広く持って盗賊になれ」
 新「これは驚きました/\、兄上考えて御覧なさい、世が世なれば旗下の家督相続もする貴方が、盗賊をしろなぞと弟に勧めるという事が有りましょうか、マア其様《そん》な事を言ったって、貴方が悪いから訴人されたので、三藏は中々其様な者ではございませぬ」
 新五郎「手前女房の縁に引かされて三藏の贔屓《ひいき》をするが、其の家を相続して己を仇《あだ》に思うか、サア然《そ》うなれば免《ゆる》さぬぞ」
 新「免さぬってえ、お前さんそれは無理で、それだから一遍牢へ這入ると人間が猶々《なお/\》悪くなるというのはこれだな、手前の居る処は田舎ではありますが不自由はさせませんから一緒に来て下さい」
 新五郎「手前は兄の言葉を背き居るな、よし/\有って甲斐なき弟故殺してしまう覚悟しろ」
 新「其様《そん》な理不尽な事を云って」
 新五郎「なに」
 と懐に隠し持ったる短刀《どす》を引抜きましたから、新吉は「アレー」と逃げましたが、雨降《あめふり》揚句《あげく》で、ビショ/\頭まではねの上りますのに、後《うしろ》から新五郎は跛《びっこ》を引きながら、ピョコ/\追駈《おっか》けまするが、足が悪
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