畜生《ちきしょう》/\彼方《あっち》へ行《い》け畜生/\」
 男「おい若《わけ》えの/\コレ若えの」
 新「ヘエ、ヘエ」
 と怖々《こわ/″\》其の人を透《すか》して見ると、藪の処に立って居るは年の頃三十八九の、色の白い鼻筋の通って眉毛の濃い、月代《さかやき》が斯《こ》う森のように生えて、左右へつや/\しく割り、今御牢内から出たろうと云うお仕着せの姿《なり》で、跛《びっこ》を引きながらヒョコ/\遣って来たから、新吉は驚きまして、
 新「ヘエ/\御免なさい」
 男「何を仰しゃる、これは貴公が駕籠から出る時落したのだ、是は貴公様のか」
 新「ヘエ/\、恟《びっく》り致しました何《なん》だかと思いました、ヘエ」
 と見ると迷子札。
 新「おや是は迷子札、是は有難う存じます、駕籠の中でトロ/\と寝まして落しましたか、御親切に有難う存じます、是は私《わたくし》の大事な物で、伯父の形見で、伯父が丹精してくれたので、何《ど》うも有難うございます」
 男「其の迷子札に深見新吉と有るが、貴公様のお名前は何《なん》と申します」
 新「手前が新吉と申します」
 男「貴公様が新吉か、深見新左衞門の二男新吉はお
前へ 次へ
全520ページ中194ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング