りましたから、早々《そう/\》立ちまして、せめて今夜は遅くも亀有まで行きたいと出かけまする。折悪しく降出して来ました雨は、どう降《ぶり》で、車軸を流す様で、菊屋橋の際《きわ》まで来て蕎麦屋で雨止《あまやみ》をしておりましたが、更に止《や》む気色《けしき》がございませんから、仕方がなしに其の頃だから駕籠を一挺《いっちょう》雇い、四ツ手駕籠に桐油《とうゆ》をかけて、
新「何卒《どうか》亀有まで遣《や》って、亀有の渡《わたし》を越して新宿《にいじゅく》泊りとしますから、四ツ木通りへ出る方が近いから、吾妻橋を渡って小梅へ遣ってくんねえ」
駕籠屋「畏《かしこ》まりました」
と駕籠屋はビショ/\出かける。雨は横降りでどう/\と云う。往来が止りまするくらい。其の降る中をビショ/\担《かつ》がれて行《ゆ》くうち、新吉は看病疲れか、トロ/\眠気ざし、遂には大鼾《おおいびき》になり、駕籠の中でグウ/\と眠《ね》て居る。
駕籠屋「押ちゃアいけねえ、歩けやアしねえ」
新「アヽ、若衆《わかいしゅ》もう来たのか」
駕「ヘエ」
新吉「もう来たのか」
駕「ヘエ、まだ参りません」
新「あゝ、トロ/\と
前へ
次へ
全520ページ中190ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング