行って結構な暮しをして、然うだって、前の川へ往《い》けば顔も洗え鍋釜も洗えるってねえ、噂を聞いて何うか見度《みた》いと思って、あの畑へ何か蒔《ま》いて置けば出来るってねえ、然うだって、まアお前さんの気性で鍬《くわ》を把《と》って、と云ったら、なアに鍬は把らない、向《むこう》は質屋で其処《そこ》の旦那様に成ったってね、と云うからおやそう田舎にもそう云う処が有るのかねえなんてね、お噂をして居ましたよそれにね」
男「コレサお前一人で喋《しゃべ》って居ちゃアいけねえ、病人に逢わせねえな」
婆「さア此方《こちら》へ」
新「ヘエ有難う」
と寝て居る病間へ通って見ると、木綿の薄ッぺらな五布布団《いつのぶとん》が二つに折って敷いて有ります上に、勘藏は横になり、枕に坐布団をぐる/\巻いて、胴中《どうなか》から独楽《こま》の紐で縛って、括《くゝ》り枕の代りにして、寝衣《ねまき》の単物《ひとえもの》にぼろ袷《あわせ》を重ね、三尺帯を締めまして、少し頭痛がする事もあると見えて鉢巻もしては居るが、禿頭で時々|辷《すべ》っては輪の形《なり》で抜けますから手で嵌《は》めて置《おき》ますが、箝《たが》の様でご
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