違じゃアねえかと思い、心配して居た、早く来て顔を見せて、よう、此方へ来ておくれな」
 累「こんな処《とこ》へ来て下すって、誠に私はお気の毒様で先刻《さっき》から種々《いろ/\》考えて居りました」
 新「気の毒も何もない、土手の甚藏の云うのだから、訳も分らねえ借金まで払って、お兄《あに》いさんが私の様な者を貰って下すって有難いと思って、私はこれから辛抱して身を堅める了簡で居るからね、よう、傍《そば》へ来てお寝な」
 累「作右衞門さんを頼んで、お嫌《いや》ながらいらしって下すっても、私の様な者だから、もう三日もいらっしゃると、愛想《あいそ》が尽きて直《じ》きお見捨なさろうと思って、そればっかり私は心に掛って、悲しくって先刻《さっき》から泣いてばかり居りました」
 新「見捨てるにも見捨てないにも、今来たばかりで、其様《そん》な詰らんことを云って、私は身寄|便《たより》もないから、お前の方で可愛がってくれゝば何処《どこ》へも行《ゆ》きません、見捨てるなどと此方《こっち》が云う事で」
 累「だって私はね、貴方、斯《こ》んな顔になりましたもの」
 新「エ、あの私はね、此様《こん》な顔と云う口上は大
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