新吉に/\と居催促《いざいそく》でもされちゃア、此の野郎も行った当坐《とうざ》極りが悪く、居たたまらねえで駈出す風な奴だから、行かねえ前に綺麗|薩張《さっぱり》借金を片付ければ私《わっち》も宜《よ》し、宜うがすか、私が請人《うけにん》になって居るからね、其の借金だけは向《むこう》で払ってくれましょうか」
 作「でかく有れば困るが何《ど》のくれえ」
 甚「何《ど》のくれえたって、なア新吉、彼方《あっち》へ縁付《かたづ》いてから借金取が方々から来られちゃア極りが悪《わり》いやア、其の極りを付けて貰うのだから借金の高を云いねえよ、さ、借金をよう」
 新「ヘエ借金は有りません」
 甚「何を云うのだ」
 新「ヘエ」
 甚「隠すな、え借金をよう」
 新「借金はありません」
 甚「分らねえ事を云うな、此の間もゴタ/\来るじゃアねえか」

        三十二

 甚「手前《てめえ》此処《こゝ》に居るのたア違わア、三藏さんの親類になるのだ、それに可愛いお嬢さんが塩梅が悪くって可哀想だから貰うと云うのだ、手前を貰わなければ命に障る大事《でえじ》な娘の貰うのだから、借金が有るなれば有ると云って、借金を片
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