エ初めまして、私《わたくし》は新吉と申す不調法者で、お見知り置かれまして御贔屓《ごひいき》に願います」
作「是はまず/\お手をお上げなすって、まず/\、それでは何《ど》うも、エヽ石田作右衞門と申して至って不調法者で、お見知り置かれやして、此の後《のち》も御別懇《ごべっこん》に願《ねげ》えます」
甚「旦那、其様《そん》な叮嚀《ていねい》な事を云っちゃアいけねえ、マア早い話が宜《い》い、新吉、三藏さんと云ってな、小質《こしち》を取って居る家《うち》の一人娘、江戸で屋敷奉公して十一二年も勤めたから、江戸子《えどっこ》も同《おんな》し事で、器量は滅法|好《い》い娘だ、宜《い》いか、其のお嬢さんが手前《てめえ》を見てからくよ/\と恋煩いだ、冗談じゃアねえ、此畜生《こんちきしょう》め、えゝ、こう、其の娘が塩梅が悪《わり》いんで、手前に逢わねえじゃア病に障るから貰《もれ》えてえと云う訳だ、有難《ありがて》え、好い女房《かゝあ》を持つのだ、手前運が向いて来たのだ」
新「成程、三藏さんの妹娘で、成程、存じて居ります、一度お目に掛りました、然《そ》う云って来るだろうと思って居た」
甚「此畜生、生意
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