訳になって見れば、己《おれ》も頼まれゝば後《あと》へも退《ひ》けねえ訳だから、己《おれ》が五十石の田地《でんじ》をぶち放っても此の話を着けねばなんねえ訳に成ったが其の男の事に付いて参《めえ》っただ」
 甚「ヘエーそうで、其の男と云うなア身寄でも親類でもねえ奴ですが、困るてえから私《わっち》の処に食客《いそうろう》だけれども、何を不調法しましたか、旦那堪忍しておくんなえ、田舎珍らしいから、柿なんぞをピョコ/\取って喰いかねゝえ奴だが、何《なん》でしょうか生埋《いきうめ》にするなどというと、私《わっち》も人情として誠に困りますがねえ、何を悪い事をしたか、何《どう》云う訳ですえ」
 作「誰《だり》が柿イ取ったて」
 甚「食客が柿を盗んだんでしょう」
 作「柿など盗んだ何《なん》のと云う訳でねえ、そうでねえ、それ、お前《めえ》知って居るが、三藏どんの妹娘《いもとむすめ》は屋敷奉公して帰《けえ》って来て居た処、お前等《めえら》ア家《うち》のノウ、其の若《わけ》え男を見て、何処《どこ》かで一緒になったで口でもきゝ合った訳だんべえ、それでまア娘が気に、彼《あ》ア云う人を何卒《どうか》亭主《ていし》に
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